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ワインの飲み方はさまざま。
寒い冬にぜひ楽しみたいのが、ホットワインです。
ドイツのグリューワインをはじめ、欧米ではクリスマスシーズンにホットワインを飲む風習があります。
ホットワインはどのような起源や歴史があるのでしょうか。
グリューワインをはじめとする各国のホットワインとともに、自宅でできるレシピをご紹介します。
赤ワイン、甘味料、スパイス。キッチンにあるもので簡単に作ることができるホットワインは、ドイツや北欧の冬の風物詩です。
そのホットワイン、実は古くからの歴史があります。
ホットワインの歴史を、簡単に解説します。
・古代ローマ時代からあったホットワイン
驚くことに、ホットワインの起源は古代ローマ時代にあります。当時のホットワインは「contidumparadoxum」と呼ばれる飲み物で、赤ワインにハチミツを加え、加熱し、胡椒やナツメヤシの葉、サフランなどでアクセントを付けていました。たいていは食事の最後に会食者に提供し、体力を回復させることが目的であったと伝えられています。
西暦1世紀に生きたグルメの文筆家アピキウスの『料理論(De re coquinaria)』には、このホットワインに触れた記述が残っています。当時の人々はホットワインを、栄養補助や体力回復の目的に飲んでいたと書かれています。
・中世のホットワイン「ヒポクラス」
中世になると、ホットワインは「ヒポクラス」と呼ばれるようになります。理由は、古代ギリシア人の医師ヒポクラテスが考案したから、と考えられていたためです。これが本当ならば、ホットワインは紀元前5世紀には存在していたことになります。
中世のヒポクラスは、甘味料だけではなく、ヨモギやハクセンの花、ローズマリーやミルトの葉、タイムなどが加えられ、消化促進や滋養強壮の役割が課されていました。南イタリアの名門サレルノ大学の医学部でも、ヒポクラスが治療用に用いられていたことが分かっています。
商業活動が盛んになった中世後期、ヒポクラスにはシナモン、クローブ、ルバーブ、ミルラ、カルダモンなどが使われ、新しいレシピが数多く生まれたといわれています。
現在も、これらのレシピを使ったヒポクラスを生産しているワイナリーが残っています。
またドイツや北欧では、輸送技術が未熟なために味が落ちてしまったワインをおいしく飲むために、シナモンやオレンジ、ジンジャーを加えるワインが発展しました。これがドイツのグリューワインやスウェーデンのグロッグの元祖となったのです。
・クリスマスマーケットの定番となった近代のホットワイン
クリスマスマーケットとホットワインが結び付くようになったのは、19世紀末のこと。スウェーデンのワイン商人と薬剤師が考案し、手描きのボトルにグロッグというスパイス入りワインを屋台で販売したことがきっかけといわれています。
この風習が欧米中に広がり、各地のクリスマスマーケットではホットワインが冬の風物詩となったのです。
古代に起源を持つホットワイン。スパイスと甘味料を使うレシピが、欧米各国にあります。それぞれの国のホットワインの特徴を解説します。
・ドイツのグリューワイン
ホットワインといえばグリューワインが有名。ドイツのクリスマスマーケットでは欠かせない飲み物で、レシピも多彩です。
クリスマスマーケットでは、大鍋や魔法瓶に入れられたグリューワインが、お手頃のお値段で楽しめます。
ホットワインといえばドイツというイメージが定着したのは、聖ニコラウス(サンタクロースのモデル)の祝日が12月にあり、このお祭りにグリューワインが欠かせなかったから、という説があります。
グリューワインのレシピは多く、「これこそ正統!」といえるものは特にありません。
基本的には、砂糖やハチミツを加えたワインを加熱し、シナモン、クローブ、スターアニス、柑橘類のピールでアクセントを付けます。
屋外で行われるクリスマスマーケットを楽しむのには、うってつけの飲み物といった感じです。
グリューワインは、ドイツの家庭でも愛されている飲み物。独特の芳香が、クリスマスシーズンの高揚感をかき立てるといわれています。グリューワインとともに、香辛料を利かせたレープクーヘンやスペキュラースというお菓子を食べるのが伝統的です。
大学都市では、学生たちがカフェなどに集い、グリューワインを飲みながらおしゃべりに興じる姿も。寒く長い冬も、グリューワインで温まりながら和気あいあいと過ごすドイツ人の姿があちこちで見られます。
・スウェーデンのグロッグ
厳寒のスウェーデンでもホットワインは人気のドリンク。グロッグと呼ばれるホットワインの起源は、16世紀にまで遡るといわれています。当時のスウェーデン王グスタフ1世が、グロッグを愛していたことも古文書から判明しているのだとか。
ホットワインを愛好する風習が庶民階級にまで広がったのは、20世紀に入ってからです。前述したように、19世紀の終わりにワイン商人がクリスマスマーケットで販売し始めたのがきっかけでした。
伝統的なグロッグのレシピは、カルダモン、シナモン、ジンジャーに加え、アーモンドやレーズンを加えます。心身ともにほっこりと温まりそうなレシピです。
・イタリアのヴィン・ブリュレ
南欧のイタリアとホットワインの関係が、あまりピンと来ない方も多いのではないのでしょうか。実際、イタリア南部でホットワインを注文しても「それなに?」と怪訝な顔をされることも珍しくありません。
一方、スイスやフランスと国境を接している北イタリアでは、ホットワイン「ヴィン・ブリュレ」が存在します。「ヴィン・ブリュレ」はフランス語で、「焦がしたワイン」という意味。イタリア語とフランス語を公用語とするヴァッレ・ダオスタ州で生まれた言葉といわれています。
ヴィン・ブリュレのレシピはごくシンプル。ワインとシナモン、クローブとオレンジピールで作られています。
クリスマスマーケットだけではなく、2月のカーニヴァルでもおなじみのホットワインです。
・フランスのヴァン・ショー
フランスのホットワインは「ヴァン・ショー(温かいワイン)」と呼ばれています。特にドイツと国境を接するストラスブールのクリスマスマーケットでは、ヴァン・ショーを売る屋台が軒を連ね、会場はワインとスパイスの香りで満たされます。
ヴァン・ショーの特徴は、コニャックを数滴加えるところ。いかにもフランス的におしゃれです。アルザス銘菓の「ブレデレ」というクッキーや、「マナラ」というパンがお供です。
ビジュアル的にも素敵なホットワインは、自宅でも簡単に作ることができます。古くなってしまったワインや、好みではないワインを使ってできるため、フードロス対策にもなります。
・赤ワインで作るホットワイン
ホットワインといえば「赤」。クリスマスシーズンにふさわしい赤ワインバージョンで楽しみましょう。
材料
・赤ワイン 180ml
・水 100ml
・砂糖 大さじ1~2杯
・シナモンスティック 1本
・クローブ お好みで
・レモンの輪切り 1枚
・オレンジの輪切り 1枚
作り方
1. 鍋に水とシナモンスティック、クローブ、レモンとオレンジの輪切りを入れ、煮立たせる。
2. 3分ほど煮たら、赤ワインを加える(沸騰させないように)
3. 75℃くらいを目安に火を止め、こす
・白ワインで作るホットワイン
赤ワインが苦手という方は、飲みやすい白ワインでホットワインをお楽しみください。
材料
・白ワイン 180ml
・ハチミツ 大さじ1杯
・シナモンスティック 1本
・生姜のスライス 1枚
・レモンの輪切り 1枚
・オレンジの輪切り 1枚
作り方
1. 白ワイン、ハチミツ、シナモンスティックとショウガのスライスを鍋に入れ、火にかける
2. ある程度温まったら、レモンとオレンジの輪切りを加えて火を止める
3. カップに入れる(飲みにくい場合はこす)
・ホットワインを飲むメリット
自宅で作るホットワインは、甘さやスパイスの加減など、好みで調節できるのがメリット。なによりもホットワインは、さまざまな効能が期待できます。
まずワインは、ユネスコの無形文化遺産に認定された地中海式食事法にも含まれているほど、健康への効果が認められる飲み物。(※1)ポリフェノールによる抗酸化作用や、コレステロールの抑制も期待できます。(※2)あくまでも適量を、適切に飲むことで、赤ワインの効能をより実感できます。
またホットワインに欠かせないシナモンは、抗菌作用、消化促進などの効果があるほか、クローブには冷え性を解消する効果も認められています。(※3)
引用元:
※1.FONDAZIONE DIETA MEDITERRANEA「Il Vino」
https://www.fondazionedietamediterranea.it/dieta-mediterranea-il-vino/
※2.厚生労働省「ワインと健康」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/alcohol/sympo/dl/sympo09-0318e.pdf
※3.株式会社エンディング『はじめてのスパイス便利帖』2016年
クリスマスマーケットの風物詩となっているホットワイン。
ドイツのグリューワインが有名ですが、各国で名前を変えて愛されています。
古代からの伝統を引き継ぐホットワインは、お手頃な値段のワインや古くなってしまったワインを使って、自宅でも楽しめるのがメリット。
寒い冬の夜のお楽しみにぜひ!
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