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お酒のあれこれ

31 気候変動によって変わるワインの世界地図!今注目の品種&産地を大解剖(2025.8.25)

地球温暖化やゲリラ豪雨の増加など、目まぐるしく変わりつつある地球環境。
気候変動の影響は、ワイン造りにも大きな影響を及ぼしています。
高名なワイナリーがワインの質の保持に研究を重ねる一方で、これまで注目されてこなかったワインや産地が脚光を浴びています。
近年の気候変動によってワイン造りがどのように変化しているのか、具体例とともに解説します。

気候変動の影響を受けて変わるワイン造りのあれこれ

確実に進んでいる気候変動や地球の温暖化。
こうした環境の変化は、ワイン造りにどんな影響を与えているのでしょうか。

・気候変動の影響は新世界より旧世界の方が大きい

気候変動の影響は、アメリカ大陸やオーストラリアなどの新世界よりも、ヨーロッパの旧世界に重大な影響を与えています。

その理由はいくつかあります。
フランスをはじめとするヨーロッパのワイン生産地は、テロワールや生産地を重視する法律が存在します。フランスのAOCやイタリアのDOCなど、原産地呼称は非常に厳格。気候変動の影響でブドウの栽培がうまくいかないからと、簡単に別の場所に移動するわけにはいかないという事情があります。

一方、新世界のワイン造りは、それほど厳しい規則に縛られていません。もちろん、テロワールにこだわるプレミアムワインもありますが、原料となるブドウの生産地やブドウ畑の場所に関しては、規則が緩めです。つまり気候変動の影響を受けてブドウの栽培がうまくいかなくなっても、新世界には別の選択の余地があるというわけです。

・気候変動によって変わったワイン造り

それでは実際に、気候変動によってワイン造りはどのように変わったのでしょうか。温暖化などの影響がワイン造りに及ぼす影響を解説します。

① ブドウの成熟時期が早まる
これまでよりも気温が高くなったことで、ブドウの成熟時期が早まりつつあります。

学術雑誌『Nature Climate Change』の報告によると、フランスのブルゴーニュにおけるブドウの収穫時期は、14世紀と比べると平均して13日も早まったそうです。1988年以前には、ブドウの収穫は9月の末でしたが、現在は8月の終わりから9月のはじめへと移動しています。

またイタリアのトスカーナ地方でも、メルローのような早熟な品種は8月の終わりから収穫が始まるようになりました。イタリアの代表品種サンジョヴェーゼは、過去30年間で収穫時期が1~2週間早くなったという報告もあります。

成熟が早まると、香りやフェノール成分が十分に発達しないケースもあり、ワインの風味に影響を与えるといわれています。

ブドウの収穫の時期がずれると、多品種が同時に成熟してしまうという現象も。ワイナリーにとってはスケジュールの調整が難しくなります。

引用元:
Nature Climate Change「Climate change decouples drought from early wine grape harvests in France」

② アルコール度数が高くなりがち
高温によって糖分が増加したブドウは、アルコール度数が高くなります。これは醗酵の過程で糖がアルコールへと変化するためです。

繊細な味わいで勝負するフランスの銘醸地では、アルコール度数の高まりによって風味のバランスをとるのが難しくなります。

③ 酸味が低下する
日中は気温が高くなっても、夜間は温度が下がり、温度差によって適度な酸味が生まれます。
ところが気候変動によって夜間も温度が下がらなくなると酸度が低下。とくに白ワインの生産に大きな影響を与えるようになっています。

④ うどんこ病などの菌類の行動が変化する(病害を受けやすくなる)
温暖化による深刻な影響は、ブドウの樹の病害が増えたことです。温かく湿った環境によってカビが増殖し、うどんこ病やベト病による被害が増大しました。

過去に例がない気温の上昇による菌類の増殖は、研究でもなかなか変化が読めないのが実情。これまで病害の影響が少なかった冷涼地でも、被害が報告されています。

⑤ スペイン、ギリシア、イタリア南部など南欧のワイン生産のリスクが高まる
スペインやイタリア、ギリシアなどの地中海世界は、理想的なワインの生産地とされてきました。
しかし気候変動は、伝統的なワインの生産地を直撃しています。

南欧の国々はここ数年、35℃を超える日が珍しくなくなりました。ブドウの樹は35℃を超えると、極端なストレスを受けることがわかっています。

これらの地域では干ばつも頻繁に起こり、ブドウの収穫ができないケースも生まれています。

⑥ イギリスやベルギーなどの北部でワイン生産が増える
伝統的なワイン生産地が被害を受ける一方で、これまでワイン生産が多くなかった北部の国々で質の良いワインが生まれるようになりました。

たとえばイギリス。
現在のイギリス南部は、かつてのシャンパーニュの気候との共通点が多くなったといわれ、ピノノワールやシャルドネの栽培が盛んに。とくにイギリス産のスパークリングワインは、世界中から注目されています。

ベルギーも同様です。
1990年代のベルギーには、ワイン製造者はほとんど見当たりませんでした。現在は100を超えるワイナリーが存在します。夏の気温が上がるワロン地方やフランダース地方を中心に、良質な辛口白ワインが生まれるようになりました。

極端な例としては、スウェーデン産ワインが挙げられます。
生産量はまだわずかですが、スコーネ地方を中心に北欧のスウェーデンでワインが造られるようになりました。ソラリスやロンドなど、耐寒性のある品種を中心に栽培されています。

気候変動によって注目を浴びているワインと産地

ここ数年の急激な気候変動は、ワイン生産地にさまざまな混乱をもたらしています。
その中で逆境に負けずに質の高いワインを生産しているワイナリーも数多くあります。
とくに注目を浴びているワインや産地について解説します。

・銘醸地ブルゴーニュやシャンパーニュは?

フランスを代表する銘醸地、ブルゴーニュやシャンパーニュは、気候変動による悪影響だけではなく、いくつかの恩恵も得ています。

冷たい夏が続くとブドウが熟さなかったこれらの産地では、気候変動によってブドウの成熟度が向上しました。果実味や糖度が安定し、グレートヴィンテージが増えたという批評家もいます。

繊細な味わいを保つための苦労はあるようですが、ワインがよりおいしくなったという意見があるのも事実です。1990年代、気温が低すぎてなかなか良いヴィンテージがなかったブルゴーニュでは、2005年、2015年、2019年は黄金の年と呼ばれるヴィンテージとなりました。シャンパーニュでも補糖の必要がないほど、糖分が豊富なブドウが収穫されています。

・注目されている品種

近年、気候変動に強い品種として知られているワインには次のようなものがあります。

① ガルナッチャ(スペイン)
スペインのアラゴン州原産といわれるガルナッチャ(フランス語ではグルナッシュ)。
ガルナッチャは気候変動の影響を受けにくい品種として、近年注目を浴びています。

ガルナッチャの特徴は、熱さと干ばつに強いこと。
まさに近年の温暖化に対抗できる資質を持ったブドウなのです。

ガルナッチャのブドウは皮が厚く、日光や病気に強いといわれています。また猛暑でもゆっくりと成熟する特性があります。降水量が少なくても土地がやせていても、とにかくストレスに強いのがガルナッチャ。

気候変動に強いブドウ品種の筆頭に名前が挙がるのも納得です。

② カリニャン(スペイン)
スペイン北東部原産のカリニャンは、フランスでも栽培されている品種。
生命力が強く、根が深く伸びるため、干ばつや暑さに強いのが特徴です。

長く暑い夏もなんのその、元気に生育するカリニャン。丁度よいことに酸味が低下しにくいという性質もあるため、フレッシュな味わいを保てるのも評価が高い理由です。

③ アシルティコ(ギリシア)
ギリシアのサントリーニ島が原産のアシルティコ。世界で最も耐性のある品種のひとつとされています。

サントリーニ島は、灼熱の太陽、強風、高温、極端に少ない降水量、火山性土壌という風土が特徴。この島で生き抜いてきたアシルティコは、とにかく厳しい環境に耐えるパワーを有しています。

逆に肥沃な土壌や豊かな水量の中では味が落ちてしまうアシルティコ。猛暑の夏でも酸度をしっかり保つワインは、風光明媚なサントリーニの島ワインとして話題になることも。

④ アリアニコ(イタリア)
南イタリアのバジリカータ州やプーリア州で栽培されているアリアニコ。紀元前の時代からイタリアで栽培されており、「南のバローロ」と呼ばれるほど豊穣な味わいを持っています。

南イタリアの猛暑のなかでも晩熟するアリアニコの収穫はなんと10月下旬。気候変動による収穫の前倒しは、かえって好都合という生産者もいるほどです。
ブドウの皮は厚く果実はコンパクトであるため、カビや暑さによるストレスに強いという長所を持っています。

もともと頑健な品種で、少々の気候変動では骨格が崩れないという頼れるブドウ。南イタリアの灼熱の太陽を栄養にして、おいしいワインとなってくれます。

・注目されている産地

気候変動によって、逆に注目を浴びているワインの産地をご紹介します。

① ドウロ(ポルトガル)
気候変動にもかかわらず、あるいは気候変動の時代だからこそ、世界から注目されているワイン産地、それがポルトガルのドウロです。南ヨーロッパのワイン産地が軒並み気候変動の影響を受けているのに対し、ドウロは非常に上手く順応してきました。

それを可能にした理由がいくつかあります。
まずドウロは海抜100~700mに位置し、丘陵地帯は東西南北に開けています。そのため猛暑の年も空気の流れによって、気温が下がりやすい地形を持っています。

またドウロの土壌も独特。痩せた片岩から成る土壌は日中に高温に達しても、夜間に冷却する性質を持っています。深部まで水分を保持するため、干ばつに強いのもメリットです。

さらにドウロでは、気候や地形に適したさまざまな品種を栽培しています。
トゥリガ・ナシオナル、ティンタ・ロリス、トゥリガ・フランカなど、暑さと水不足に強いブドウがおいしいワインの原料となっています。

② イギリス
近年、ワインの生産量が急増したイギリス。ケントやサセックスを中心にブドウが栽培されています。シャルドネやピノノワールを原料に生まれるスパークリングワインの評価が急激に上昇中。
今後の発展も期待されるのが、イギリス産のワインです。

③ 北ヨーロッパ
北欧のデンマークやスウェーデンでもワイナリーが誕生し、スカンジナビア生まれのワインが注目されています。
また2024年にはスコットランドで初のスパークリングワインが登場。
ヨーロッパの寒冷地で生まれるワインから今後も目が離せません。

気候変動の時代にさらにおいしくなったワインをご紹介

気候変動をものともせず、近年さらにおいしくなったと評判のワインをご紹介します。
・トゥリガ・ナショナル(ポルトガル)

世界から注目されるポルトガルのドウロの代表的な赤ワイン。
暑さに耐える厚い果皮から、濃厚なアロマとタンニンが生まれます。
代表的なワインには、キンタ・ド・クラスト・トゥリガ・ナショナルや、キンタ・ド・ノヴァルのトゥリガ・ナショナルがあります。

バガ & トゥリガ・ナショナル レッド

・ガルナッチャ(スペイン)

スペインを代表するガルナッチャは、肉厚の果実がもたらす凝縮感が魅力的なワイン。
親しみやすい味わいはさまざまな料理に合わせやすく、まろやかさが印象的です。

代表的なワインには、ワイン評論家の筆頭ロバート・パーカーから高い評価を得たボデガス・アルト・モンカヨのアルト・モンカヨ・ガルナッチャ、ブルゴーニュ風の哲学で知られるコマンドGのラ・ブルーハ・デ・ロサスなどがあります。

ウルテリオール・ガルナッチャ

・アリアニコ(イタリア)

晩熟の頼れる赤ワイン、アリアニコ。骨格の強さとふくよかさが特徴で、南のバローロの名にふさわしい味を誇ります。カンパーニア州のタウラジやイルピニアに、高い評価を誇る銘酒が存在します。

マストロベラルディーノのラディチ・タウラジ・リゼルバ、フェウディ・サン・グレゴリオのセルピコはとくに有名。

【ヴィノジア】 タウラジ サンタンドレア

・クレレット(フランス)

南フランスの白品種クレレットも、暑さや乾燥に強い品種として知られています。
爽やかなアロマが好ましいクレレットは女性に大人気。
ドローム川流域で生産されるスパークリングワイン、クレレット・ド・ディーが有名です。

【ロテム&ムニエ・サウマ】コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ ブラン イノピア

最後に

気候変動はワインの地図を塗り替えつつあります。厳しい状況の中でも、新たな挑戦と可能性が生まれていることは確かです。
伝統と革新が交錯するワインの世界。
今後もその進化を味わいながら、気候とともに歩むワインの未来を楽しみにしたいものです。

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