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日本では赤ワインの消費量が多く、その理由として、1980年代後半のボージョレ・ヌーヴォーブーム、1998年の赤ワインブームなどの影響が考えられます。コープデリのワイン販売量も赤ワイン2:白ワイン1といった比率で赤ワインが多くなっています。
そして、赤ワインの中でもピノ・ノワール品種で造ったワインの人気が近年上昇してきています。
フランスのワイン銘醸地を代表するブルゴーニュ地方の赤ワイン用ブドウ品種です。明るいルビー色で、ラズベリーなど赤系果実のチャーミングな香り、渋みのあるタンニン量が少なく、シルキーでなめらかな味わいのワインになります。
赤ワイン品種の女王とも言われ、エレガントで気品のあるワインとして、ワイン・ラヴァーを魅了してやみません。あの有名なロマネ・コンティもピノ・ノワール100%で造られていますし、シャンパーニュにも使われています。
フランスのブルゴーニュ地方が有名ですが、ドイツではシュペート・ブルグンダーと呼ばれており、最近日本でも人気です。また、アメリカのオレゴン州、ニュージーランドのセントラル・オタゴも有名な産地になっています。
フランスのブルゴーニュでは、630年にベーズ修道会によって、ジュヴレ・シャンベルタン村にピノ・ノワール畑がひらかれました。その後1,000年以上にわたって栽培されています。
植物の種子は、雄しべと雌しべの交配で親株の遺伝子と同じにならないため、ブドウ樹は挿し木によって親株と同じ遺伝子を持つ樹を増やしていきます。ただし、ピノ・ノワールは突然変異の多い品種で、様々な特徴を持つクローンが出来ています。
ブルゴーニュのワインは高く売れるので、生産者は収量は少なくても、凝縮館やエレガントさのあるクローンを選びますし、ピノ・ノワールが有名でない地域の生産者は、質よりも量が期待できる多産性のクローンを選ぶことが多いです。一方、高級ワイン産地のシャンパーニュ地方では、シャンパーニュ造りに適した色が薄く、酸味が強いクローンが求められています。
ピノ・ノワールの代表的なクローンは、古いものから以下のものがあります。
・10/5(テン・バイ・ファイブ) スイスの研究所で選抜され1960年代から存在しました。華やかさに欠け、やや地味で単調という評価を受けやすいですが、高い評価を受けている生産者も少なくありません。
・UCD5(ポマール・クローン) カリフォルニアのUCデイヴィス校の選抜で、ブルゴーニュのシャトー・ド・ポマールから穂木を採取しました。色調豊かで濃く、バイオレットの香り、肉厚な果実の特徴です。
・ディジョン・クローン ブルゴーニュでクローン選抜が盛り上がった1970~80年代に6種類が高品質クローンとして認定されました。チャーミングな赤系果実の香り、アロマが華やかでエレガントな味わいが特徴です。
現在、主流のクローンになっています。
ブルゴーニュやドイツという昔からワインを造っていた産地(旧世界・オールドワールドと言います)だけではなく、植民地時代を抜けた時期に本格的にワインを造りだした産地(新世界・ニューワールド)でもピノ・ノワールの注目産地があります。
まず、アメリカ西海岸のオレゴン州です。冷涼な気候から生まれる高品質なピノ・ノワールの産地として世界的な注目を集めていて、ワイン用ブドウ栽培面積の約57%を占めるまでになっています。1980年代には、フランスからディジョン・クローンの一群が導入され、1987年から毎年7月にピノ・ノワールの祭典が3日間にわたって行われ、世界中から生産者や愛好家が集まります。
そして、ニュージーランドも世界的注目を集めています。1970年代半ばにロマネ・コンティのブドウ樹の枝を持ち込もうとした乗客から、税関職員のエイベル氏が枝を没収し自らの畑に植え、それが現在「DRCエイベル」というクローンとして流通しています。10/5やUCD5、ディジョン・クローンと併せて現在、複数のクローンをバランスよく組み入れて、果実味とエレガントさを両立させたピノ・ノワール造りがされています。
日本でも北海道や長野の冷涼地を中心にピノ・ノワールの栽培が行われ、旨みや滋味を感じさせる日本スタイルのピノ・ノワールワインが造られています。北海道余市町のドメーヌ・タカヒコのピノ・ノワールワインは、世界で最も予約困難なデンマークのナチュラルレストラン「ノーマ」に採用されました。これからの日本のピノ・ノワールの進化が楽しみです。
wine&でも現在12種類のピノ・ノワールを使ったワインを世界中からセレクトしています。
下記からwine&サイトに行っていただき、様々なタイプのピノ・ノワールを使ったワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。
https://wineand.jp/products/list?category_id=28
参考:「ボルドーでワインを造ってわかったこと」安蔵光弘氏著
「2021日本ソムリエ協会教本」
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